タカラバイオグループ「長期経営構想2025」および「中期経営計画2022」を策定

 タカラバイオは、2025年度(2026年3月期)を最終年度とする「長期経営構想2025」および2022年度(2023年3月期)を最終年度とする「中期経営計画2022」を策定しました。

 

 当社グループは、研究用試薬の海外展開、CDMO事業の拡大、遺伝子治療プロジェクトの進捗などにより、11期連続増益を達成するなど業績拡大を続けています。しかしながら、当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱など、国内外ともに大きく変化し、その厳しさを増しています。

 また、当社グループが積極的に取り組んでいる、遺伝子治療などの再生医療等製品の創薬事業分野では、多様なモダリティ(治療法)の開発、実用化が進み、バイオベンチャーやメガファーマなど、企業規模とは関係なく、世界的に競争が激化しています。

 さらに、環境・社会問題など、サスティナビリティへの企業の取組みに対し、社会的関心が高まり、企業は業績・財務だけではなく、社会課題解決への積極的な取り組みが求められています。

 

 このような状況の中、当社グループは、「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」を経営理念とし、コア事業である「研究用試薬・理化学機器事業」と「CDMO事業」を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを継続的に創出する創薬企業~{*} を目指しています。今後とも、積極的な事業活動により、あらたな価値を創造し続け、持続的な成長を達成し、社会への貢献を果たしてまいります。

 

 なお、現在は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国内外の経済活動に大きな影響が出ていますが、長期経営構想や中期経営計画の方向性には影響を及ぼさないことを前提に計画を策定しています。

 

~{*} 医薬品の研究開発、製造、販売の全ての機能を自社内で完結する完全統合型製薬企業のビジネスモデルではなく、新しく開発したモダリティ(治療法)のライセンス導出等により収益を得ることをビジネスモデルとする企業、と当社グループでは定義しています。

 

1.「長期経営構想2025」の概要

(1)位置づけ・目的

「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、2025年における目指す姿を示し、持続的成長を実現する。

(2)期間

2020年度~2025年度(6年間)

(3)ビジョン(目指す姿)

「研究用試薬・理化学機器事業」と「CDMO事業」を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを創出し続ける創薬企業を目指す。

(4)計画最終年度定量目標

     営業利益:100億円、ROE8%以上

 

「長期経営構想2025」のビジョン

 

2-1. 「中期経営計画2022」の概要

(1)期間

2020年度~2022年度(3年間)

(2)全体方針

事業成長戦略と経営基盤強化戦略を推進し、「長期経営構想2025」の実現(営業利益100億円)に向けて、積極的に研究開発投資を行い、成長基盤の礎を構築する3年間とする。

(3)計画最終年度定量目標

営業利益:65億円、ROE:6%以上

(4)事業戦略

  • コア事業である「研究用試薬・理化学機器事業」と「CDMO事業」の持続的成長
  • 将来の飛躍的成長に向けた創薬アライアンスの加速と新規臨床プロジェクトの創出
  • 伸び行くグローバル市場への展開の加速、事業領域の拡大
  • 事業部門制を廃止し、部門融合による成長加速へ向けた組織体へ再編

(5)経営基盤強化

  • 積極的な成長投資、株主還元の充実、ROEの向上
  • 成長を支える人・組織・労働環境づくり
  • 技術・研究開発基盤の強化
  • 生産性向上によるあらたな収益基盤の構築
  • 企業理念の実践による社会的価値の創造

 

2-2. 「中期経営計画2022」における各事業・プロジェクトの戦略

(1)研究用試薬事業

  • 日本、米国、中国の各開発拠点の開発テーマの最適化をはかり開発効率の向上を目指す。
  • 日本、米国、中国、欧州における製造体制を分散・再編し、グループ全体での最適化、効率化をはかる。また、継続的なコストダウン、品質マネジメントシステムの取得範囲の拡大などにより、価格・品質面での競争力向上をはかる。
  • 地域特性を考慮した「グローカル」な販売戦略を構築し、計画最終年度:2022年度の売上高297億円以上を目指す。

(2)理化学機器事業

  • ウイルス検査などの産業・医療分野向けのPCR関連製品の開発を強化し、さらに獣医・畜産、環境分野への展開をはかる。シングルセル解析装置などのアプリケーションの充実による拡販を目指すとともに、CDMO事業の新規メニューの開発にも活用する。
  • 製造・開発体制を再編し、機器と専用試薬のシステム化による付加価値の高い新製品開発を行う。
  • これらの施策により、計画最終年度:2022年度の売上高22億円以上を目指す。

(3)CDMO事業

  • 遺伝子・細胞プロセッシングセンターの増設・拡張により、再生医療等製品などの製造能力が格段に向上したことを活用し、受託サービス事業の拡大を目指す。
  • 再生医療等製品関連分野では、ウイルスベクター製造のスケールアップや、遺伝子導入細胞の生産性の向上、コストダウンも含めたGMP製造体制のさらなる強化を進める。
  • 遺伝子解析・遺伝子検査分野では、臨床関連分野への参入、大型ゲノム解析プロジェクト対応能力の向上などに努める。
  • これらの施策により、計画最終年度:2022年度の売上高96億円以上を目指す。

(4)創薬アライアンス

  • TBI-1301(NY-ESO-1・siTCR~{®})TBI-1401(C-REV)TBI-1501(CD19CAR)の各プロジェクトについては、提携企業と確実に臨床開発を進め、早期の上市を目指すとともに、新たな海外提携・導出活動を加速する。

(5)新規臨床開発プロジェクト

  • CEA-GITR・CAR、CD19-JAK/STATCARプロジェクトの治験を早期に開始するとともに、あらたな複数の遺伝子治療プロジェクトを開発する。
  • 体外遺伝子治療では、治療効果がより高く、血液がん以外の固形がんへも応用可能なCARおよびsiTCR~{®}治療法の開発を目指す。
  • 体内遺伝子治療では、治療効果がより高く、患者への負担が少なく投与できる新しいウイルスベクターの開発を目指す。

 

2-3. 「中期経営計画2022」における経営基盤強化の方向性

 事業戦略と連動した、5つの経営基盤戦略を推進することで、「長期経営構想2025」を実現する企業風土へと変革し、強固な成長基盤を確立します。同時に、ESGSDGsに配慮した経営も実践します。

(1)財務

  • 財務健全性を維持しながら、積極的な成長投資を継続し、株主還元の充実とROEの維持向上を目指す。

(2)人・組織

  • グローバル化、次世代を担うリーダーの人材育成に注力し、個々の能力を高める成長機会を充実させるとともに、ワークライフバランスとやりがいを実感できる労働環境づくりを実現する。

(3)技術

  • 持続的成長の生命線である研究・開発力を強化し、オープンイノベーションも積極的に活用することにより、新技術創出の基盤を構築する。

(4)収益

  • 業務管理・プロセスの見直し、IT基盤の一層の整備・活用による業務の効率化や生産性の向上をはかる。

(5)社会的価値の創造

  • 企業理念に基づいた、先端研究用試薬の開発・実用化などを通じたライフサイエンス研究支援、遺伝子治療薬の開発によるアンメットメディカルニーズの充足など、タカラバイオグループならではの事業活動を行う。

<参考1> 新型コロナウイルス感染症拡大への対応

研究用試薬や遺伝子治療薬の研究開発で培った技術やノウハウを、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために役立てる事業活動を進めています。

 

  • PCR検査用試薬をはじめとした研究用試薬類の供給

 ライフサイエンス研究を行う世界の大学や国立の研究機関、製薬企業への研究用試薬類の供給は滞ることなく継続しており、CDMOサービスにおいても、納期の遅延がないように全社を挙げて取り組んでいます。

 特に、新型コロナウイルス感染症検査に使われるPCR検査用試薬は、数少ない国内メーカーの責務として、十分な供給量を確保しています。

 さらに、新型コロナウイルスを、検体からウイルスRNAを精製する前処理工程を必要とせず、反応時間が1時間未満で、迅速、簡便に検査ができるPCR検査用試薬(製品名: SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit)を、51日より新発売し、PCR検査体制の拡張、強化を支援しています。

〇迅速・簡便な新型コロナウイルス検出PCRキットを販売開始(2020/4/30)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_202767212m006ta13941635_200430.html

 

  • 予防用DNAワクチン開発に協力

 遺伝子治療薬の臨床開発・製造を進めてきた技術・ノウハウを最大限に応用する形で、大阪大学およびアンジェス株式会社らのグループが進める新型コロナウイルスに対する予防用DNAワクチンの開発に協力しています。

〇大阪大学のグループが進める新型コロナウイルスDNAワクチンの開発協力について(2020/3/5)

https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_2014365k238m7014115_030520.html

<参考2> 「長期経営構想2025」期間中の数値計画

 

(注)2020年度業績予想について

 2020年度の業績予想(2020年5月14日公表)では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などを鑑み、売上高33,800百万円(前期比95.8%)、営業利益4,500百万円(前期比71.7%)を予想しています。営業利益は、現状想定される、世界的な研究開発アクティビティの低下などのリスク要因を最大限に織り込んで予想したものです。

 このような中、研究開発費は、4,814百万円(前期比124.4%)と、将来成長の技術基盤づくりに向けて積極的な投資を計画しています。

このように、2020年度については、一時的な業績へのマイナス影響が見込まれますが、研究開発への積極的な投資などにより、業績の急速な回復を想定しており、新型コロナウイルス感染症は、「長期経営構想2025」および「中期経営計画2022」の方向性には影響を及ぼさないと考えています。