タカラバイオ株式会社(社長:仲尾 功一)では、2010年4月から2013年3月末までのタカラバイオグループの中期経営計画を策定しました。
当社は、「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献する」ことを企業理念として、当社の基幹技術であるバイオテクノロジーを活用し、安定収益基盤である「遺伝子工学研究分野」、第2の収益事業化を目指す「医食品バイオ分野」、成長基盤である「遺伝子医療分野」の3つの事業分野において、事業を推進しています。
本中期経営計画では、2012年度のタカラバイオグループ連結売上高215億円の達成及び研究開発費の増加を吸収して経常利益12億円への利益拡大を目指します。初年度である2010年度は、昨年5月発表の中期経営計画(2011年度に経常利益10億円)を1年前倒しし、経常利益10億円(過去最高益)を目指します。
「遺伝子工学研究分野」では、市場の伸びが期待できるリアルタイムPCRや細胞生物学分野への積極的な新製品・サービスを提供することで事業の拡大を図ります。「医食品バイオ分野」では、健康志向食品やキノコの売上増及び効果・効率的な費用投下により、2011年度の営業黒字化を目指します。「遺伝子医療分野」においては、遺伝子治療・細胞医療の研究開発を積極的に推進するとともに、売上の拡大も目指します。

1. 業績目標

連結業績目標

(単位:百万円)

セグメント別売上高

(単位:百万円)

セグメント別営業利益

(単位:百万円)

セグメント別研究開発費

(単位:百万円)

2. 事業分野別施策

「遺伝子工学研究」、「遺伝子医療」、「医食品バイオ」の3つの事業分野に照準を合わせ、継続的に黒字を計上する一方で、経営資源投下について選択と集中を図り事業構造の改革を進め、成長基盤の構築を目指すため、以下に掲げる事業を展開していきます。

(1) 遺伝子工学研究分野

大学や企業などの世界のバイオ研究者向けに研究用試薬・理化学機器の販売や研究受託サービスを行う当分野は、現在、当社の収益基盤であるコアビジネスとして位置づけていますが、さらなる強化を図るため、次のような事業展開を積極的に進めます。

  • リアルタイムPCR分野、エピジェネティクス分野、細胞生物学分野における新製品開発・売上拡大
  • iPS細胞、次世代シークエンシング関連技術開発及び受託サービスの売上拡大
  • マーケティング力強化によるAsia Pacific等の海外での売上拡大
  • グループ会社製品の中国への製造移管による価格競争力の強化

(2) 遺伝子医療分野

遺伝子治療・細胞医療の臨床開発を推し進め、国内初の体外遺伝子治療の商業化を目指し、次のような事業を積極的に展開します。

 

【遺伝子治療】

  • 白血病を対象としたHSV-TK遺伝子治療の臨床開発の推進(提携先:国立がん研究センター)
  • がんを対象としたTCR遺伝子治療の臨床開発の推進(提携先:三重大学等)
  • RNA分解酵素MazFを利用したエイズ遺伝子治療法の米国での臨床開発(提携先:ペンシルベニア大学等)
  • 新規ベクターシステムの開発等の遺伝子治療の次世代基盤技術の開発

 

【細胞医療】

  • レトロネクチン®誘導Tリンパ球療法の臨床開発の推進(提携先:京都府立医科大学等)
  • レトロネクチン®誘導Tリンパ球療法等の総合支援サービスの売上拡大
  • がん免疫細胞療法用の細胞培養培地・バッグ等の売上拡大

(3) 医食品バイオ分野

機能性食品素材の開発を中心とした健康志向食品やキノコに関する次のような事業を積極的に展開します。

 

  • ガゴメ昆布「フコイダン」、寒天「アガロオリゴ糖」、明日葉「カルコン」、ヤムイモ「ヤムスゲニン®」、ボタンボウフウ「イソサミジン」、きのこ「テルペン」などの機能性成分を応用した健康志向食品素材のエビデンス強化等による売上拡大
  • ハタケシメジ、ホンシメジの新技術導入によるコストダウンと自社販売による売上拡大
  • より安全・安心な製品を提供するための、品質管理・品質保証体制の強化
  • マツタケゲノムなどを活用した高付加価値キノコの新規栽培法の確立

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

リアルタイムPCR法
従来のPCR法は、サーマルサイクラーという機器で目的DNAを増幅した後、増幅産物を電気泳動で解析するという手順で行われています。リアルタイムPCR法では、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器を用いて、PCRでのDNA増幅産物の生成過程をリアルタイム(実時間)で検出し、解析できます。DNA増幅産物の生成の過程を連続して観察できるため、より正確な定量が可能となります。また電気泳動を行う必要がないため、解析時間の大幅な短縮が可能となります。

 

エピジェネティクス

塩基配列に依存しない遺伝子発現の多様性を生み出す仕組みを意味します。染色体構造、あるいは、ゲノムへの後天的な修飾により遺伝子発現が制御されることに起因する遺伝学あるいは分子生物学の研究分野です。修飾としては、主にDNA塩基のメチル化とヒストンの化学修飾があります。それぞれの修飾の変化は、発生や分化の過程において経時的に生じ、細胞の形質発現への寄与は大きく、分子生物学上の一大領域を形成しつつある学問分野です。iPS細胞の研究においても、DNAメチル化の解析が行われています。

 

iPS細胞
体細胞に、再プログラム化に必要な数種類の遺伝子を導入し誘導される分化多能性を獲得した細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells:iPS細胞)と名付けられました。iPS細胞は、ES(Embryonic Stem)細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。

 

RNA分解酵素
mRNAの特定の配列を特異的に認識して切断する酵素で、当社はこれらをRNA分解酵素と呼んでいます。MazFは、大腸菌由来の酵素で、mRNAのACAの塩基配列を認識し、切断します。

 

レトロネクチン®
レトロネクチン®は、当社が開発したヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質です。レトロネクチン®を用いたレトロウイルスベクターによる遺伝子導入法は、レトロネクチン法として知られており、レトロウイルスベクターによる遺伝子治療の臨床研究のスタンダードとなっています。さらに、当社はレトロネクチン®の新たな機能として、リンパ球の培養を増強する効果を発見し、レトロネクチン®の臨床応用を進めています。

 

ヤムスゲニン®
ジオスゲニンは、ヤマノイモ科やユリ科の植物に含まれるステロイドで、様々な生理活性を有するといわれています。当社では、「ヤムイモ由来のジオスゲニン配糖体」を「ヤムスゲニン®」と命名し、様々な機能性の研究を進めております。

 

ボタンボウフウ
ボタンボウフウ(牡丹防風)は日本では本州以西から沖縄までの海岸沿いに生育するセリ科の植物で、学名をPeucedanum japonicumといいます。沖縄では別名、長命草やサクナと呼ばれています。屋久島産ボタンボウフウには、有用成分であるイソサミジンが含まれており、当社では様々な機能性の研究を進めております。