タカラバイオ株式会社は、American Society of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会)2017(本年6月2日~6日開催、米国イリノイ州シカゴ)において、腫瘍溶解性ウイルスHF10の米国での第II相臨床試験の最終結果を発表しますので、お知らせいたします。

【発表概要】

学会名

ASCO(American Society of Clinical Oncology) Annual Meeting 2017

場所

McCormick Place (米国イリノイ州シカゴ)

発表日時

(現地時間)

6月3日 13:15-16:45 (Poster session)
          16:45-18:00 (Poster discussion session)

演題

Final results of a phase II multicenter trial of HF10, a replication-competent HSV-1 oncolytic virus, and ipilimumab combination treatment in patients with stage IIIB-IV unresectable or metastatic melanoma
(切除不能または転移性悪性黒色腫患者に対する腫瘍溶解性ウイルスHF10とイピリムマブとの併用療法の第II相臨床試験の最終報告)

発表要旨

腫瘍溶解性ウイルスHF10の米国での第Ⅱ相臨床試験結果
【被験者情報】
・46例が登録・投与され、そのうち37%がステージ IVであった。
・また、43%が既治療例であった。
 
【安全性について】
・HF10に起因する有害事象のほとんどはグレード2以下であり、用量制限毒性は認められなかった。
 
【有効性について】(有効性評価可能症例:44例)
・24週最良総合効果(Overall Response):41%
・病勢コントロール率(Clinical Benefit):68%
・無増悪生存期間(中央値):19ヶ月、生存期間(中央値):21.8ヶ月
(2017年2月時点)
・イピリムマブと腫瘍溶解性ウイルスHF10の併用治療は、イピリムマブ単独治療よりも効果があり、悪性黒色腫に対する新しい治療法になり得る可能性が示唆された。

ポスター資料

こちら

なお、腫瘍溶解性ウイルスHF10について、6月2日より宮城県仙台市(仙台国際センター)で行われる第116回日本皮膚科学会総会、及び6月30日より秋田県(秋田キャッスルホテル)で開催される第33回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会において講演予定です。
 
当社は、腫瘍溶解性ウイルスHF10について、平成30年度の商業化を目標に、引き続き臨床開発を推進してまいります。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 事業管理部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

腫瘍溶解性ウイルス
腫瘍溶解性ウイルスとは、正常な細胞内ではほとんど増殖せず、がん細胞内において特異的に増殖するウイルス(制限増殖型ウイルス)です。増殖によって直接的にがん細胞を破壊し、さらにその際に放出されたウイルスが周囲のがん細胞に感染すること、また、破壊されたがん細胞の断片ががんに対する宿主の免疫を活性化することで、投与部位以外のがんも縮小することが期待されます。単純ヘルペスウイルス1型のほか、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レオウイルス等から作られた腫瘍溶解性ウイルスの開発が行われています。
 

HF10
HF10は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の弱毒化株で、がん局所に注入することによって顕著な抗腫瘍作用を示します。このようなウイルスは腫瘍溶解性ウイルス(oncolytic virus)と呼ばれています。また、平成28年12月に大塚製薬株式会社とHF10に関する独占的ライセンス契約を締結しました。
 

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)
単純ヘルペスウイルス1型は、唇にできる口唇ヘルペス(口内炎)や、眼の角膜にできるびらん(単純ヘルペス角膜炎)などの原因となります。感染しても、多くの場合は症状をあらわすことなく体内に潜んでいますが、ストレス・過労・病気などの要因で体力が低下すると症状をあらわします。アシクロビルをはじめとした抗ウイルス剤が治療薬として有効です。
 

悪性黒色腫
悪性度が非常に高い、皮膚に発生するがんの一種で、メラノーマとも呼ばれています。皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞をメラノサイトと呼び、悪性黒色腫はこのメラノサイトあるいは母斑細胞(ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍と考えられています。
 

イピリムマブ
がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)は、がん細胞を認識して攻撃する一方、過剰な免疫応答への抑制機能をもち、抗腫瘍活性を示さない場合があります。イピリムマブはCTLが持つCTLA-4という分子に結合し、この抑制機能を解除することで抗腫瘍活性を増強する医薬品(免疫チェックポイント阻害剤)です。
 

副作用のグレード
副作用の重症度を示すものです。米国がん国立研究所が公表した基準では、グレード1~5の5段階に分類されています。グレード1~5の順に、軽度、中等度、高度、生命を脅かす重症度、死亡となります。グレード2以下は、症状に対して治療が必要になる可能性がありますが、臨床試験は継続できる程度とされています。