タカラバイオ株式会社と米国ベリカム・ファーマシューティカルズ社(テキサス州、以下「ベリカム社」)とは、当社がベリカム社に、当社が保有するレトロネクチン®に関する特許を実施許諾するためのライセンス契約を平成24年11月1日付で締結しました。本契約に基づき、当社はベリカム社に、ベリカム社が実施する自殺遺伝子を用いた遺伝子治療の開発及び商業化に、レトロネクチン®を全世界で非独占的に使用する権利を付与します。

 

レトロネクチン®を用いる遺伝子導入法は、当社と米国インディアナ大学医学部が共同で開発したもので、造血幹細胞等の血液系細胞への高効率遺伝子導入を可能にした技術です。すでに全世界の44ヶ所の医療機関においてレトロネクチン®を用いた遺伝子治療の臨床研究が実施された実績があり、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療におけるスタンダード技術となっています。また、ベリカム社は、当社がレトロネクチン®の商業利用を許諾した5社目の企業となります。

 

ベリカム社は、CaspaCIDe™という細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導する仕組みを利用した自殺遺伝子に関する技術を保有しています。同社は、造血幹細胞移植に伴うドナーリンパ球輸注療法に用いるリンパ球にこの自殺遺伝子を導入するという遺伝子治療法の臨床開発を計画しており、当該遺伝子導入時にレトロネクチン®が使われる予定です。

 

今回のライセンス契約締結が、平成25年3月期連結業績に与える影響は軽微ですが、当社は、レトロネクチン®を用いた遺伝子治療が全世界においてさらに広がっていくものと期待しています。



 

【ベリカム社概要】

 

会社名 Bellicum Pharmaceuticals, Inc.
所在地 2130 West Holcombe Boulevard, Suite 850, Houston
設立年 2004年
代表者 Thomas J. Farrell, CEO
事業内容 細胞・遺伝子治療等の研究開発

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

レトロネクチン®

レトロネクチン®は、当社が開発したヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質です。レトロネクチン®を用いたレトロウイルスベクターによる遺伝子導入法は、レトロネクチン法として知られており、レトロウイルスベクターによる遺伝子治療の臨床研究のスタンダードとなっています。さらに、当社はレトロネクチン®の新たな機能として、リンパ球の培養を増強する効果を発見し、レトロネクチン®を用いたがん免疫細胞療法の臨床応用を進めています。

 

自殺遺伝子

自殺遺伝子を細胞に導入することにより、後に特定のシグナルを与えることによって細胞を死に至らせる(自殺させる)ことができるようになります。当社がHSV-TK遺伝子治療プロジェクトにおいて利用しているHSV-TK(単純ヘルペスウイルス1型-チミジンキナーゼ)もその代表の1つです。ベリカム社のCaspaCIDe™技術では、細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導する遺伝子が利用されています。

 

レトロウイルスベクター

レトロウイルスとは、一本鎖RNAをゲノムとするウイルスで、このウイルスが感染した細胞では、RNAゲノムから合成されたDNAが染色体に組み込まれます。遺伝子治療用ベクターとして、レトロウイルスの一種であるマウス白血病ウイルス(MoMLV:Moloney murine leukemia virus)を特別な細胞の中でのみ増殖できるように改変し、自己増殖能を奪ったものが広く用いられています。このベクターを使用すれば種々の細胞に遺伝子導入を行うことができ、導入した遺伝子の安定した発現が期待できます。

 

ドナーリンパ球輸注療法

造血幹細胞移植後に、再発した白血病や感染症の治療の目的で、ドナー由来のリンパ球を患者に移植する治療法です。この治療法では、移植したドナー由来のリンパ球が患者の細胞や組織を異物とみなして患者自身を攻撃する免疫反応(移植片対宿主病/GVHD)が重篤な副作用として発生することがありますが、自殺遺伝子を導入したリンパ球を用いることにより、必要に応じて移植した細胞を死滅させ、GVHDの沈静化を図ることが可能となります。