タカラバイオ株式会社は、株式会社ニッピが製品化したヒトiPS細胞の培養等に使用するラミニンフラグメントを、当社が全世界で販売する契約を本日付で締結しました。当社は、当該製品の日本での販売を本年7月16日より開始します。

 

ヒトiPS細胞やヒトES細胞のような多能性幹細胞の培養には、培養容器に “足場”となる材料が必要となります。従来では、この”足場”となる材料として主にマウスの細胞が使用されていますが、この培養方法ではヒト多能性幹細胞を再生医療に利用する場合に、この”足場”材料のマウスの細胞の混入など、安全性に問題があります。動物細胞に代わる”足場”として、現在は培養容器に特定のタンパク質をコーティングすることでヒト多能性幹細胞の培養が可能となっています。

 

本製品は、大阪大学と京都大学で開発されたラミニンフラグメントであり、iPS細胞を培養する際に使用すると、既存の”足場”タンパク質と比べて、約200倍以上の効率的な培養が可能となります*。また、通常、iPS細胞を単一細胞にすると培養することが困難でしたが、本製品を使用することで単一細胞からも効率よくiPS細胞のコロニーを大量に作成することができます。本製品はiPS細胞を用いた基礎研究や再生医療分野に広く利用されることが期待されます。

 

現在、政府の先端医療分野への研究支援が増加しており、国内のアカデミアを中心に、iPS細胞を用いた再生医療の基礎研究や臨床研究が盛んに行われようとしています。このような状況の中、当社は、幹細胞を用いた研究に関する製品の自社開発や導入品の拡販により、この分野での売上の拡大に注力いたします。

 

*文献:Miyazaki, T. et al : Laminin E8 fragments support efficient adhesion and expansion of dissociated human pluripotent stem cells. Nat. Commun., 3 : 1236, 2012

 

【製品概要】

 

製品名 製品コード 容量 標準価格(税込)
  iMatrix-511   T300 350μg (175μg×2本) 56,700円
T301 1,050μg (175μg×6本) 126,000円

製品の詳細やご購入については、当社営業部営業企画担当(TEL:077-543-7231)までお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【ニッピ社の概要】

 

会社名 株式会社ニッピ
設立 1907年
代表者 伊藤 隆男
住所 東京都足立区千住緑町1-1-1
事業概要 試薬・理化学機器の開発・販売、研究支援サービス
コラーゲン・ゼラチンを使用した食品、化粧品関連事業
靴製品等の皮革関連事業
ホームページ http://www.nippi-inc.co.jp/

 

 

【語句説明】

 

ラミニン

ラミニンは、基底膜の主成分、α、β、γ鎖からなる500-900kDaのヘテロ三量体の細胞接着性糖タンパク質で、十字架の構造を有します。フィブロネクチン等の細胞外マトリックスの一種で、種々の培養細胞から分泌され、その機能は細胞分化、増殖、癌の転移、神経の伸長等に深く関与しています。

 

多能性幹細胞

多能性幹細胞とは、種々の細胞へ分化できる能力(多分化能)と分裂増殖を経ても未分化な細胞を維持できる自己複製能を有する細胞のことをいいます。例えば、再生医療への応用が期待されているヒト初期胚より樹立されたES(Embryonic Stem:胚性幹)細胞やヒト体細胞をリプログラミングして得られた人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells:iPS細胞)も含まれます。

 

iPS細胞

体細胞に、数種類の遺伝子を導入し誘導される分化多能性を獲得した細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells:iPS細胞)と名付けられました。iPS細胞は、ES細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。