タカラバイオ株式会社は、三重大学医学部附属病院と共同で、がん治療薬HF10の臨床研究を行うに際し、平成23年12月22日付で契約を締結しました。本臨床研究は、当社が遺伝子治療の臨床開発の推進を目的に三重大学医学部に設置している遺伝子・免疫細胞治療学講座が中心となって実施されます。

 

がん治療薬HF10は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株であり、正常細胞ではほとんど増殖しませんが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させることが動物実験などにおいて示されています。このような抗がん作用を示すウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスと呼ばれています。

 

今回の臨床研究では、標準治療での治癒が期待できない、体表からHF10が投与可能な病変を有するがん患者を対象に、HF10を複数回投与した際の安全性、体内動態および腫瘍縮小効果などの評価を行います。
HF10には、ウイルスによる直接的ながん細胞の殺傷効果に加え、腫瘍免疫(がんに対する免疫力)を向上させることによる、投与部位以外のがん病変への効果が期待されますが、このような効果に関する基礎的な知見を得ることを目的に、免疫応答に関する評価も行う計画となっています。

 

なお、本契約締結による当社連結及び単体の平成24年3月期業績への直接的な影響は軽微です。当社は、2018年度の商業化を目指し、現在米国においてHF10の第I相臨床試験を実施しており、本臨床研究を含めたHF10の臨床開発を引き続き推進していきます。 

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

 

単純ヘルペスウイルス1型

単純ヘルペスウイルス1型は、唇にできる口唇ヘルペス(口内炎)や、眼の角膜にできるびらん(単純ヘルペス角膜炎)などの原因となります。感染しても、多くの場合は症状をあらわすことなく体内に潜んでいますが、ストレス・過労・病気などの要因で体力が低下すると症状をあらわします。アシクロビルをはじめとした抗ウイルス剤が有効です。

 

腫瘍溶解性ウイルス

腫瘍溶解性ウイルスとは、正常な細胞内ではほとんど増殖せず、がん細胞内において特異的に増殖するウイルス(制限増殖型ウイルス)です。増殖によって直接的にがん細胞を破壊し、さらにその際に放出されたウイルスが周囲のがん細胞に感染すること、また、破壊されたがん細胞の断片ががんに対する宿主の免疫を活性化することで、投与部位以外のがんも縮小することが期待されます。単純ヘルペスウイルス1型のほか、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レオウイルス等から作られた腫瘍溶解性ウイルスの開発が行われています。