タカラバイオ株式会社は、一般細菌をリアルタイムPCRで迅速に検出するための研究用試薬を本年12月4日より発売します。本製品は、菌種間での保存性が高いタンパク質伸長因子Tu(tuf)遺伝子をリアルタイムPCRで検出することにより、一般細菌数を定量するための研究用試薬です。

 

従来、一般細菌数を調べるためには2~4日の標準寒天培地による培養を必要としましたが、リアルタイムPCRを用いた本製品では、約3時間と迅速に定量結果を得ることができ、食品・環境分野の自主管理等に有用です。また、従来の培養検査では、菌種によって最適な培養条件が異なるため、検体の種類等を考慮し、検体に存在する菌種に応じて培地組成や培養温度を工夫する必要がありましたが、本製品では一度に広範な細菌種を測定することができます。また、黄色ブドウ球菌やセレウス菌等の毒素を産生する細菌が食品に汚染した場合、加熱により殺菌処理を行っても、毒素が食品に残存する可能性があります。細菌が死滅すれば培養検査では不検出になりますが、本製品では死菌も検出できるため、細菌汚染履歴の調査にも活用できます。

 

当社は、PCR・リアルタイムPCR法の応用分野(アプライドフィールド)として、食品分析、環境分析、分子診断等向けの新製品開発に注力しており、すでに、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌やノロウイルス等の食中毒菌を迅速・簡便に検出できる研究用試薬を検査機関や食品メーカー向けに販売しています。この度の新製品の発売により、当社はこの分野での更なるシェア拡大を目指します。


 

【製品概要】

 

製品名   容量   製品コード 希望小売価格
(税込)
Bacteria (tuf gene) Quantitative PCR Kit 100回 RR240A 68,250円

製品の詳細やご注文については、当社営業部(TEL:077-543-7231)にお問い合わせください。

<参考資料>

 

【語句説明】

 

一般細菌

特定の細菌や特定の菌群ではなく、細菌全般(いわゆる雑菌)を指す用語です。一般細菌の数は、食品や環境等の検査で衛生指標として用いられています。実際の検査においては、測定方法によっては検出されない菌種も存在しますので、総菌数とは一致しませんが、衛生状態の指標となります。

 

リアルタイムPCR法

従来のPCR法は、サーマルサイクラーという機器で目的DNAを増幅した後、増幅産物を電気泳動で解析するという手順で行われています。リアルタイムPCR法では、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器を用いて、PCRでのDNA増幅産物の生成過程をリアルタイム(実時間)で検出し、解析を行います。DNA増幅産物の生成の過程を連続して観察できるため、より正確な定量ができます。また電気泳動を行う必要がないため、解析時間の大幅な短縮が可能となります。 これらの特徴を活かし、遺伝子発現のモニタリングや特定遺伝子の存在確認による微生物の検出、生物種の判定など幅広い分野での応用が進んでいます。

 

タンパク質伸長因子Tu(tuf)遺伝子

細菌全般を対象としたPCR検出系としては、16S rRNA遺伝子を利用したものが知られていますが、16S rRNAは菌種間でコピー数(細菌に含まれる遺伝子の数)が異なるので正確な定量には適しません。タンパク質伸長因子Tu(tuf)遺伝子は、菌種間での保存性が高く、染色体上に低コピー(1または2個)で存在している遺伝子であり、一度に広範囲の細菌種を検出するのに適しています。

 

標準寒天培地

一般生菌数の測定に用いられる培地の一種です。生育する菌種に対する選択性が低く、広範な菌種を検出するために使用されます。

 

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はヒトの皮膚、鼻腔などに存在する常在細菌であり、耐熱性の毒素を作ります。このため食品が汚染していた場合、加熱調理することで菌が死滅してもその毒素は残り、食中毒の原因となります。

 

セレウス菌

セレウス菌(Bacillus cereus)は土壌や汚水など自然界に多く存在する細菌です。この菌は加熱で大部分が死滅するが、その芽胞は加熱にも耐え、発芽増殖することができます。このため食品が汚染していた場合、加熱調理しても保存中に菌が増殖できます。また、耐熱性の毒素を作りますので、再加熱しても食中毒の原因となります。