タカラバイオ株式会社(社長:仲尾功一)の子会社であるクロンテック社(カリフォルニア州マウンテン・ビュー市)は、タンパク質を高効率・低毒性に、かつ機能を保持したまま、種々の哺乳細胞に導入することができる新製品「Xfect™ Protein Transfection Reagent」を開発しました。当社グループは、本製品を12月6日に全世界で発売します。

 

iPS細胞、細胞の分化誘導、がんの発生メカニズムの解明および細胞周期などの研究分野では、タンパク質を細胞に導入し、その変化を観察することで、タンパク質や細胞の機能を解析する実験が頻繁に行われています。このような実験においては、機能を保った状態のタンパク質を、細胞本来の性質に影響を与えず、効率よく細胞に導入することが重要となります。
「Xfect™ Protein Transfection Reagent」には、クロンテック社が独自に開発した、タンパク質に細胞膜を通過する性質を付与することができる細胞透過性ペプチドが採用されており、目的タンパク質を高効率かつ低毒性に、機能を保持した状態で細胞に導入することが可能となりました。
本製品は、従来高効率なタンパク質導入が難しいとされてきた、ヒト由来の浮遊細胞やマウス由来ES細胞などにも用いることができます。また、プラスミドDNAを利用した従来の手法では、プラスミドDNAからメッセンジャーRNAが転写された後、タンパク質が生成されるため、目的タンパク質が細胞内に現れるまでに12~24時間が必要でしたが、本製品では、機能を保持したタンパク質を1~2時間で直接細胞に導入することが可能です。

 

本製品について、12月8日に神戸にて開催されるBMB2010(第33回日本分子生物学会年会/第83回日本生化学会大会 合同大会)ランチョンセミナー「Innovative Tools for Advanced Cell Biology」において発表します。

 

当社グループは、本製品を含む細胞内導入関連製品にて、発売より1年間で1億円の売上を目指します。

【製品概要】

製品名

Xfect™ Protein Transfection Reagent

内容

タンパク質細胞導入試薬

製品コード

631323

容量

30反応分

価格

45,150円(税込)

製品・サービスの詳細やご購入については、当社営業部営業企画担当(TEL:077-543-7231)にお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

細胞透過性ペプチド
HIV-1 ウイルス由来の TAT(Trans-Activator of Transcription Protein)が、細胞膜を通過し細胞内に取り込まれることが発見されて以来、さまざまな細胞透過性ペプチドが開発されています。細胞内へ導入したいタンパク質を細胞透過性ペプチドとの融合タンパク質として発現させること、あるいは、細胞透過性ペプチドと導入したいタンパク質を物理的に結合させることで、膜透過性を付加し、細胞内へ輸送することができます。

 

iPS細胞
体細胞に、再プログラム化に必要な数種類の遺伝子を導入し誘導される分化多能性を獲得した細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells:iPS細胞)と名付けられました。iPS細胞は、ES(Embryonic Stem)細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。

 

プラスミドDNA
環状の二本鎖DNAで、大腸菌、酵母や動物細胞内で、複製・維持されます。大腸菌などの細胞内で目的タンパク質を大量に発現させることのできる遺伝子組換え技術等に利用されます。

 

メッセンジャーRNA
細胞内でタンパク質が合成される過程においては、まずゲノムやプラスミドDNAなどに含まれる遺伝子の塩基配列情報がメッセンジャーRNAと呼ばれる一本鎖のRNAに写し取られます(転写)。メッセンジャーRNAは細胞核の外に運ばれ、その塩基配列情報を基にタンパク質の合成が行われます。