タカラバイオ株式会社は、ヒトのiPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞から、肝臓細胞への分化状態検出試薬を、本年8月30日より発売します。

 

創薬研究分野では、ヒト肝臓細胞等を用いた医薬品候補物質の毒性評価が必須です。しかしながら、現在主に用いられている初代培養肝細胞は、入手方法が限定的であるとともに、その製造方法の特性上品質が安定しないため、再現性のあるデータが得られにくいといった問題点がありました。そのため、豊富で安定的な供給が見込めるiPS細胞から、均一で高性能の肝臓細胞を効率的に大量製造できる分化誘導方法の研究が大きな注目を集めています。

 

本製品には、1枚の96穴プレートに幹細胞から肝臓細胞への分化状態を検出するために有用な88種類の遺伝子と8種類の標準(ハウスキーピング)遺伝子のプライマーが搭載されており、リアルタイムRT-PCR法により、iPS細胞やES細胞等の幹細胞からの肝臓細胞への分化傾向を簡便に検出することが可能です。

 

当社は、iPS細胞やES細胞等の幹細胞研究に関する新製品・サービスの開発に注力しており、本製品を含めた関連製品・サービスを国内外の研究機関や製薬企業向けに販売しています。この度の新製品の発売や今後の新製品・サービス開発により、当社はこの分野での更なるシェア拡大を目指します。

 

 

【製品概要】

 

製品名 PrimerArray® Hepatic Differentiation (Human)
製品コード PH017
希望小売価格(税込) 65,100円

製品の詳細、価格やご注文については、当社営業部(TEL:077-543-7231)にお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

iPS細胞

体細胞に、数種類の遺伝子を導入することなどによって分化多能性が誘導された細胞のことです。2006年に京都大学山中伸弥教授らのグループにより、この現象が発見され人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cells:iPS細胞)と名付けられました。iPS細胞は、ES(Embryonic Stem)細胞とほぼ同等の分化多能性を示すことから、薬剤開発、種々の疾患の病態解明や再生医療への応用が期待されています。

 

ES細胞

ES(Embryonic Stem:胚性幹)細胞は、初期胚より樹立され、分化多能性を維持したまま半永久的に増殖させることができると言われています。これまで多くの再生医療関連の基礎研究がES細胞を用いて行われています。また、幹細胞の研究を進める上では、iPS細胞とES細胞との比較研究も重要と考えられています。

 

リアルタイムRT-PCR

従来のPCR法は、サーマルサイクラーという機器で目的DNAを増幅した後、増幅産物を電気泳動で解析するという手順で行われています。リアルタイムPCR法では、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器を用いて、PCRでのDNA増幅産物の生成過程をリアルタイム(実時間)で検出し、解析を行います。DNA増幅産物の生成の過程を連続して観察できるため、より正確な定量ができます。また電気泳動を行う必要がないため、解析時間の大幅な短縮が可能となります。増幅する対象遺伝子がDNAの場合は、リアルタイムPCR、RNAの場合は、リアルタイムRT-PCRといいます。

 

ヒト初代培養肝細胞

ヒト肝臓組織より調製し培養した細胞で、医薬品開発の過程で行われる毒性(肝毒性)評価等に利用されています。ヒト初代培養肝細胞は採取されたヒトの個体差、あるいは、組織や細胞の調製過程で生じる細胞へのダメージ等に起因するロット間での品質のばらつきのため、再現性のある評価結果が得られにくいなどの問題点が指摘されています。また、こうした創薬研究用に国内で利用されているヒト初代培養肝細胞は、海外からの輸入により賄われています。