タカラバイオ株式会社は、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌が属するグラム陽性菌の、生きた細菌を選択的に検出、定量する試薬を本年9月10日より発売いたします。

 

食品や環境の衛生管理上、病原性細菌等の微生物検査が必要です。従来の検査では、主に寒天培地での生育の有無による判定法が行われています。近年、より迅速かつ高感度な検出法として、遺伝子増幅法(PCR法又はリアルタイムPCR法)の活用が期待されていますが、現行の遺伝子増幅法では、混在する死んだ菌(死菌)の遺伝子(DNA)も併せて検出してしまい、生きた菌(生菌)のみを検出することができませんでした。

 

当社は、上記の死菌も検出してしまうという問題を解決するため、生菌の持つDNAが薬剤修飾されにくいことを利用して生菌由来の遺伝子を選択的に検出する技術(EMA-PCR法)を実用化し、2011年よりグラム陰性菌の生菌検出用試薬を販売しています。

 

グラム陽性菌は、グラム陰性菌に比べて薬剤修飾で生菌と死菌を区別するのが難しいとされていますが、薬剤処理の条件を最適化することにより、検出が可能となりました。本製品はグラム陽性菌の生菌DNAを1日以内で検出することが可能となり、従来の培養法と比較して検査に要する時間を大幅に削減することができます。


 

また、グラム陽性菌には、黄色ブドウ球菌やリステリア菌等の食中毒菌の他に、乳酸菌などの有用菌も含まれます。グラム陽性菌の生菌検出が可能となることで、衛生管理だけでなく、いわゆる「善玉菌」の生存状況の解析等、さまざまな研究への応用も可能になると期待されます。

 

当社は、PCR・リアルタイムPCR法の応用分野(Applied Field)として、食品分析、環境分析、分子診断等向けの新製品開発に注力しており、この度の新製品の発売や今後の新製品開発により、当社はこの分野でのさらなるシェア拡大を目指します。

 

【製品概要】

 

製品名 製品コード  容量  希望小売価格
(税込)
Viable Bacteria Selection Kit for PCR (Gram Positive) 7705 100回 52,500円

製品の詳細やご注文については、当社営業部(TEL:077-543-7231)にお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

グラム陽性菌

グラム染色で紺青色あるいは紫色に染色される細菌の一群で、外膜を持たず、厚いペプチドグリカン層が存在します。グラム陽性菌には、黄色ブドウ球菌やリステリア菌、乳酸菌などが含まれます。

 

PCR法

Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)法の略称です。温度サイクル装置(サーマルサイクラー)を使用し、微量のDNAを数時間のうちに数百万倍にまで増幅する技術です。

 

リアルタイムPCR法

従来のPCR法は、サーマルサイクラーという機器で目的DNAを増幅した後、増幅産物を電気泳動で解析するという手順で行われています。リアルタイムPCR法では、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器を用いて、PCRでのDNA増幅産物の生成過程をリアルタイム(実時間)で検出し、解析を行います。DNA増幅産物の生成の過程を連続して観察できるため、より正確な定量ができます。また電気泳動を行う必要がないため、解析時間の大幅な短縮が可能となります。 これらの特徴を活かし、遺伝子発現のモニタリングや特定遺伝子の存在確認による微生物の検出、生物種の判定など幅広い分野での応用が進んでいます。

 

EMA (ethidium monoazide)

光反応性核酸架橋剤であり、350nm~700nmの波長の光照射によりDNA又はRNAに共有結合して分子間を架橋する薬剤です。本試薬により修飾を受けたDNAはPCR反応阻害が起こります。