タカラバイオ株式会社は、リアルタイムPCR法を用いて、ノロウイルスを特異的かつ迅速に検出・同定する研究用試薬「TaKaRa qPCR Norovirus (GI/GII) Typing Kit」を9月26日に発売します。本製品は、群馬県衛生環境研究所との共同研究の成果に基づき、当社が開発したものです。

 

ノロウイルスは、感染性胃腸炎を引き起こすウイルスで、冬季を中心に流行する食中毒の主な原因として知られています。ノロウイルスは、感染力が非常に強く、手指や食品などを介して経口感染する性質を持っているため、集団食中毒の原因になることもあります。このような集団感染を防ぐためには、検査によって感染者を特定し、感染の拡大を事前に予防することが重要と考えられています。
ノロウイルス検査については、食中毒の予防を目的として厚生労働省から通知されている「大量調理施設衛生管理マニュアル」にも記載されており、給食センターなどの大規模食品関連施設の調理従事者などに対して、ノロウイルスの検査が実施されています。

 

現在、ノロウイルスを検出する方法の中でも、厚生労働省より通知された「ノロウイルスの検出法について」(以下、公定法)に収載されているリアルタイムPCR法が、食中毒行政検査を行っている国内の公設試験研究機関(地方衛生研究所など)において広く用いられています。

今回発売する新製品は、このリアルタイムPCR法によるノロウイルスの検出を従来よりも簡便、迅速に行えるようにしました。本製品は、簡便にノロウイルス検出を行えるように必要な試薬類が全て含まれており、PCRプライマー・プローブには公定法に収載された塩基配列を採用しております。また、本製品には、当社が独自に開発した高速逆転写酵素を使用しており、検査のための反応時間が従来の2時間半から約1時間半へと大幅に短縮されています。

 

なお、本製品については、公定法に収載されたリアルタイムPCR法と同等の感度・精度を有することが群馬県衛生環境研究所との共同研究において確認されています。当社は、ノロウイルスの検査を実施している公的機関や臨床検査・食品関連企業などに本製品の販売を行っていきます。



当社は、PCR・リアルタイムPCR法の応用分野(Applied Field)として、食品分析、環境分析、分子診断等向けの新製品開発に注力しております。本製品に関して、発売から3年後に1億円の売上を目指します。



 

【製品概要】

 

製品名 TaKaRa qPCR Norovirus (GI/GII) Typing Kit
製品コード RR250A / RR250B
容量 50回/250回
価格 94,500円(税込) / 378,000円(税込)

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

ノロウイルス
感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種で、感染した人の糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を吸い込み感染します。また、カキなどの貝類にも含まれており、それら食品を介しても感染します。感染すると、1~2日の潜伏期間後に、主に嘔吐、下痢、腹痛、発熱(37~38℃)を引き起こします。
ノロウイルスにはGenogroup I ( GI )とGenogroup II ( GII )があり、現在14種類と17種類の遺伝子型(Genotype)に分類されています。

感染症胃腸炎
多種多様な原因物質による消化器症候群であり、主に細菌やウイルスなどの感染性病原体による腹痛、嘔吐及び下痢などを主な症状とします。また、その結果、脱水、電解質喪失症状による全身症状を示す場合もあります。

大量調理施設衛生管理マニュアル
厚生労働省は、大規模食中毒の発生を未然に防止するために、「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日衛食第85号別添) (最終改正:平成20年6月18日食安発第0618005号)を通知として示しています。本マニュアルは、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)の概念に基づいており、調理過程における重要管理事項が示されています。

ノロウイルスの検出法について
厚生労働省から通知されている「ノロウイルスの検出法について」(食安監発第1105001号)(最終改定平成19年5月14日食安監発第0514004号)には、いくつかのノロウイルス検出法が収載されています。なかでもリアルタイムPCR法は、有用な遺伝子検査法として幅広く利用されています。

リアルタイムPCR法
従来のPCR法は、一般的にサーマルサイクラーという機器で標的DNAを増幅した後、増幅産物を電気泳動で解析するという手順で行われています。一方、リアルタイムPCR法では、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器を用いて、PCRでのDNA増幅産物の生成過程をリアルタイム(実時間)で検出、解析を行います。この方法においては、DNA増幅産物の生成の過程が連続で観察でき、かつより正確な標的遺伝子の定量が可能となります。また電気泳動などを行う必要がないため、解析時間の大幅な短縮が可能となります。

逆転写酵素
RNA依存性DNAポリメラーゼとも呼ばれます。レトロウイルスより発見されたDNAポリメラーゼで、通常のDNAポリメラーゼがDNAを鋳型としてDNA合成を行なうのに対して、この酵素はRNAを鋳型としてDNA合成を行ないます。現在この酵素は、mRNAからのcDNA(相補的DNA)作製など、RNAを鋳型とした各種DNA合成反応に広く用いられ、遺伝子工学分野で必要不可欠な酵素となっています。