タカラバイオ株式会社(社長:仲尾功一)は、約2万種のヒトshRNA発現ベクターを研究用試薬として4月1日より発売します。本ベクターは、文部科学省ゲノムネットワークプロジェクトの研究成果の一つであり、当社は、国立大学法人東京大学より実施許諾を受け、国内において独占的に販売します。また、本ベクターの販売に加え、当社が持つウイルス作製技術と組み合わせたshRNA発現クローン(アデノウイルス、レトロウイルスやレンチウイルスを用いて目的遺伝子の発現を継続的に抑制した細胞)の作製受託サービスを開始します。

 

shRNAを用いたRNA干渉は、配列特異的に特定の遺伝子の発現を抑制する技術で、遺伝子機能を網羅的に解析するための有力なツールとなっています。本ベクターは約2万種というヒト遺伝子に対する高い網羅性を有しており、疾患関連遺伝子の探索研究など、ヒト遺伝子の機能解析を目的とした研究における幅広い利用が期待されます。

 

本ベクターのshRNA配列は、RNA干渉誘導確率が高いのみならず、RNA干渉実験で問題となる目的以外の遺伝子の発現を抑制してしまう効果(オフターゲット効果)が低いという特徴を有しています。本ベクターは、すでにゲノムネットワークプロジェクトの参加メンバーにより、のべ13万種類が使用された実績があります。

 

今回のRNA干渉関連の製品ラインアップおよび受託メニューの拡充により、遺伝子・細胞機能の解析研究分野における売上増を目指します。

【製品概要】

製品名

ヒトshRNA発現ライブラリー

製品説明

本製品は、ヒト遺伝子約2万種類を網羅するレトロウイルス型ヒトshRNA発現ライブラリーです。本ライブラリーは、そのまま細胞へ導入して使用できます。また、レトロウイルスベクターを採用しているため、レトロウイルスとして多種類の細胞への感染も可能です。そのため、RNA干渉効果を持続化させた、shRNA発現安定細胞株の樹立を行うことができます。

価格

1セット(約2万種のヒトshRNA発現ベクター) 500万円(税別)

 

製品の詳細やご購入については、当社営業部企画担当(TEL:077-543-7231)にお問い合わせください。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

shRNA
shRNA(short hairpin RNA)は、ヘアピン構造に折りたたまれた短いRNAです。細胞内でshRNAを発現させると、切断されてsiRNAとなり、RNA干渉を引き起こすことがわかっています。shRNAは、プラスミドやウイルスベクターなどによって比較的容易に細胞内で発現させることが可能なため、RNA干渉実験で多く利用されています。

 

RNA干渉(RNAi)
RNA干渉(RNAi, RNA interference)とは、細胞に導入された二本鎖RNAが、それと相補的な配列を持っている標的mRNAの機能を抑える現象のことです。siRNA(small interfering RNA)と呼ばれる短い二本鎖RNA(約21塩基)は、ヒトを含む哺乳類の細胞においてRNA干渉を引き起こすことがわかっており、画期的な遺伝子発現抑制手法として、また遺伝子機能解析の手法として利用されています。

 

ゲノムネットワークプロジェクト
文部科学省ゲノムネットワークプロジェクトは平成16年度より、生命現象を支える遺伝子や生体分子の相互作用のネットワークの体系的解明を目指して開始されました。今回販売するレトロウイルス型ヒトshRNA発現ベクターは、東京大学分子細胞生物学研究所 秋山 徹 所長が研究代表者として取り組んだ本プロジェクトの研究課題において構築されたものです。本ベクターのshRNA配列は、東京大学大学院理学系研究科 程 久美子 准教授らが開発された設計法(文献1)に基づいています。
文献1) Ui-Tei et al. Guidelines for the selection of highly effective siRNA sequences for mammalian and chick RNA interference. Nucleic Acids Res. 32; 936-948 (2004)

 

オフターゲット効果
siRNAの長さは約21塩基と短いため、標的遺伝子とは全く無関係な遺伝子にも相同部分が存在する確率が高くなります。そのため、標的とは無関係な遺伝子の発現まで抑制される可能性があります。この現象はオフターゲット効果と呼ばれており、RNA干渉を用いた研究における重要な問題の一つとなっています。