タカラバイオ株式会社の遺伝子治療に関する研究開発プロジェクトが、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の課題解決型実用化開発助成事業にこの度採択されましたのでお知らせします。

 

採択事業名 NEDOイノベーション推進事業「課題解決型実用化開発助成事業
(がん等の重篤な疾患治療用バイオ医薬品の臨床応用に向けた製造関連技術の開発)
研究テーマ 「ウイルスベクターの革新的製造技術と品質管理技術の開発」
期間 平成23年11月14日から平成25年2月28日
助成率 1/2
助成額 各年度の上限が7,500万円

 

今般採択された研究開発プロジェクトは、国内で高品質な遺伝子治療用ベクターを低コストで製造するシステムを構築し、画期的な遺伝子治療の実現に貢献することを目指すものであり、以下の3つの技術開発を推進する計画です。

 

1)高効率ベクター製造システムの構築
遺伝子治療用ベクターの大量生産技術の開発及び製造工程の自動化、機械化を目指します。

2)高品質ベクター製造システムの構築
クロマトグラフィー法を精製に応用すると共に、培養から精製、分注に至るまでの工程をシステム化して高品質な遺伝子治療用ベクターの製造を可能とするシステム の構築を目指します。

3)複合的ベクター作製技術の開発
遺伝子治療の効果と安全性を向上させる為、自殺遺伝子や制御エレメント、サイトカイン類を搭載した複合ベクターを開発します。

 

本研究開発プロジェクトの採択により、当社が計画していた研究開発経費に加え、今回の助成額を本研究開発プロジェクトに投下し、遺伝子治療の技術開発をより一層加速できるものと考えております。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

ベクター

目的遺伝子を細胞やバクテリアに導入するための分子。プラスミドベクター、ウイルスベクターなどがあります。

 

ウイルスベクター

アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス等があります。ウイルスが持っている細胞に感染して、自らの遺伝子を細胞に導入する仕組みを利用して、目的遺伝子を細胞に導入します。

 

クロマトグラフィー法

物質を分離、分析するための方法です。吸着や分配などにより液体中に存在する種々の物質を相互に分離します。蛋白質などの生体高分子やウイルス粒子の精製法としてイオン交換法やゲル濾過法によるクロマトグラフィーが用いられています。

 

自殺遺伝子

自殺遺伝子とは、低毒性の化合物を代謝することにより細胞障害性のある物質に変換するための酵素をコードする遺伝子のことです。この自殺遺伝子を用いたHSV-TK遺伝子治療について、当社は国立がん研究センターと共同で、造血器悪性腫瘍を対象とした治験及び臨床研究を実施しています。

 

制御エレメント

遺伝子の転写を制御する塩基配列領域のことです。RNAポリメラーゼが結合するプロモーター領域、転写調節因子が結合する領域、転写を促進する領域などが有り、生体内で転写のスイッチとして働きます。ウイルスベクターに、制御エレメントを搭載することにより目的遺伝子の転写を制御することができます。

 

サイトカイン

細胞から分泌放出され、種々な細胞間相互作用に関与する蛋白質性因子を総称してサイトカインと呼びます。免疫、炎症,生体防御などにおいて重要な役割を担い、極めて微量で効果を発揮する、標的細胞特異性を示す、産生局所で働くなどの特徴を有します。その機能として細胞性免疫を増強するものや、抑制するものがあり、ウイルスベクターにサイトカイン遺伝子を搭載することにより遺伝子治療の効果を増強することが期待されます。