当社は、第27回AACR-NCI-EORTC(米国癌学会・米国国立癌研究所・欧州癌研究治療機関)国際会議において、腫瘍溶解性ウイルスHF10の米国での第Ⅱ相臨床試験の中間集計結果を発表しますので、お知らせいたします。あわせて、米国での第Ⅰ相臨床試験の結果も発表いたします。

 

【発表概要】

 

学会名 第27回AACR-NCI-EORTC国際会議
場所 Hynes Convention Center (ボストン、マサチューセッツ州、米国)
発表日時 11月8日 12:30~15:30(現地時間)
プログラム Immune Response to Therapies
演題 Safety Profile and Tumor Response in Patients with Refractory Superficial Cancers Treated with HF10, an Oncolytic Replication-competent HSV-1-derived Intratumoral Injectable, as Monotherapy and Combined with Ipilimumab
(表在性病変を有する難治性がん患者への腫瘍溶解性ウイルスHF10の単剤療法とイピリムマブとの併用療法における安全性と腫瘍縮小効果)
発表要旨 腫瘍溶解性ウイルスHF10の米国での第Ⅱ相臨床試験中間集計結果
【安全性について】
  • HF10に起因する重篤なまたはグレード3以上の副作用は認められなかった。

 

【有効性について】

  • 評価期間24週中12週間を経過した評価可能な24例のうち、6例に腫瘍縮小がみられた。
  • うち2例は腫瘍が消失(完全奏効)した。

 
なお、本中間集計結果について、10月29日に京都国際会議場(京都市)で行われる第53回日本癌治療学会においても発表いたします。
 
当社は、腫瘍溶解性ウイルスHF10について、現在、米国においてメラノーマを対象とした第Ⅱ相臨床試験を、日本においてメラノーマや扁平上皮がんなどの固形がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を行っています。平成30年度の商業化を目標に、引き続き臨床開発を推進してまいります。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 事業管理部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

腫瘍溶解性ウイルスHF10

HF10は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の弱毒化株で、がん局所に注入することによって顕著な抗腫瘍作用を示します。このようなウイルスは腫瘍溶解性ウイルス(oncolytic virus)と呼ばれています。当社はメラノーマを対象に米国で第Ⅱ相臨床試験を、メラノーマなど固形がんを対象に日本で第Ⅰ相臨床試験を行っています。
 

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)

単純ヘルペスウイルス1型は、唇にできる口唇ヘルペス(口内炎)や、眼の角膜にできるびらん(単純ヘルペス角膜炎)などの原因となります。感染しても、多くの場合は症状をあらわすことなく体内に潜んでいますが、ストレス・過労・病気などの要因で体力が低下すると症状をあらわします。アシクロビルをはじめとした抗ウイルス剤が有効です。
 

腫瘍溶解性ウイルス

腫瘍溶解性ウイルスとは、正常な細胞内ではほとんど増殖せず、がん細胞内において特異的に増殖するウイルス(制限増殖型ウイルス)です。ウイルスの増殖によって直接的にがん細胞を破壊し、がん細胞が死滅します。また、その際に放出されたウイルスが周囲のがん細胞に感染し、さらに、破壊されたがん細胞の断片ががんに対する宿主の免疫を活性化することで、投与部位以外のがんも縮小することが期待されます。単純ヘルペスウイルス1型のほか、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レオウイルス等から作られた腫瘍溶解性ウイルスの開発が行われています。
 

メラノーマ

悪性度が非常に高い、皮膚に発生するがんの一種で、悪性黒色腫とも呼ばれています。皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する皮膚の細胞をメラノサイトと呼び、悪性黒色腫はこのメラノサイトあるいは母斑細胞(ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍と考えられています。
 

副作用のグレード

副作用の重症度を示すものです。米国がん国立研究所が公表した基準では、グレード1~5の5段階に分類されています。グレード1~5の順に、軽度、中等度、高度、生命を脅かす重症度、死亡となります。グレード2以下は、症状に対して治療が必要になる可能性があるが、臨床試験は継続できる程度とされています。
 

完全奏効

抗がん剤の治療により、がんの大きさがどの程度小さくなったかを表す基準です。腫瘍溶解性ウイルスHF10の米国での第Ⅱ相臨床試験で採用している基準、mWHO(modified World Health Organization)のガイドラインで以下のように定義されています。

  • 完全奏効 : がんが消失し、それが4週間続いた状態。
  • 部分奏効 : がんの大きさが50%以上縮小し、それが4週間続いた状態。
  • 進   行 : がんの大きさが1箇所以上で25%以上増加、または新しい病変が出現した状態。
  • 不   変 : 部分奏効と進行の間の状態。