タカラバイオ株式会社と京都府立医科大学とは、寒天由来アガロオリゴ糖の機能性に関する研究を共同で進め、寒天由来アガロオリゴ糖に腸管炎症を予防する効果があることを動物実験で明らかにしました。この研究成果が、学術誌Journal of Gastroenterologyに11月28日にオンライン公開されました。論文のタイトルや内容は以下の通りです。

 

【タイトル】

「Oligosaccharides from agar inhibit murine intestinal inflammation through the induction of heme oxygenase-1 expression」
(アガロオリゴ糖はヘムオキシゲナーゼ-1の発現誘導を介してマウスの腸管炎症を阻害する)

 

 

【著者】
東村泰希sup{1}、内藤裕二sup{1}、高木智久sup{1}、水島かつらsup{1}、平井泰子sup{1}、春里暁人sup{1}、大野木宏sup{1, 2}、山地亮一sup{3}、乾博sup{3}、中野長久sup{4}、吉川敏一sup{1}
1:京都府立医科大学大学院医学研究科、2:タカラバイオ株式会社バイオ研究所、3:大阪府立大学大学院生命環境科学研究科、4:大阪女子短期大学

 

【内容】
寒天由来アガロオリゴ糖の腸管炎症の予防作用について、薬剤誘発大腸炎モデルを用いて評価しました。マウスにアガロオリゴ糖を溶解した水を6日間毎日投与し、投与開始から4日目に薬剤(TNBS:2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸)を直腸内投与しました。アガロオリゴ糖の投与開始から6日目に大腸を摘出し組織を解析した結果、TNBSによる大腸の炎症や出血、腸管膜構造の破壊がアガロオリゴ糖により強く抑制されていました(図1)。また、炎症性サイトカインのTNF-αの産生もアガロオリゴ糖により抑制されていました(図2)。さらに、アガロオリゴ糖の経口投与により抗炎症性のタンパク質であるヘムオキシゲナーゼ-1が腸管で強く発現していることが確認され(図3)、ヘムオキシゲナーゼ-1の阻害剤によりアガロオリゴ糖の効果が消失したことから、アガロオリゴ糖の抗炎症作用の機序として腸管におけるヘムオキシゲナーゼ-1の誘導が考えられました。

 

これらの研究結果から、アガロオリゴ糖は腸管炎症の予防に有望な天然由来素材であることが示されました。なお、本研究成果は第65回日本酸化ストレス学会学術集会(平成24年6月7~8日)において発表され優秀演題賞を受賞しています。 

図1 アガロオリゴ糖によるTNBS誘発大腸炎の抑制

AGOはアガロオリゴ糖、Vehは陰性対照(水)、ShamはTNBS無投与を示す。

図2 アガロオリゴ糖によるTNF-α産生の抑制

図3 アガロオリゴ糖によるヘムオキシゲナーゼ‐1の誘導

異なる記号間で有意差あり(p<0.05)。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

 

【語句説明】

 

アガロオリゴ糖

寒天の主成分であるアガロースの酸加水分解によって生成する2~8糖のオリゴ糖です。これまでの研究において、抗関節炎作用、皮膚炎抑制作用、シワ改善作用、解毒作用、発がん予防作用などの機能性が明らかになっています。

 

TNF-α(腫瘍壊死因子)

活性化したマクロファージなどから産生されるサイトカインの一種です。炎症反応を増悪させ、関節炎やメタボリックシンドロームなど様々な疾患に関係しています。

 

ヘムオキシゲナーゼ-1

ヘムを分解し鉄と一酸化炭素とビリベルジンを産生する誘導型の酵素です。ヘムオキシゲナーゼによる分解産物は抗酸化作用、抗炎症作用を発揮し、酸化ストレスなどから細胞障害を防ぐ働きがあることが知られています。

 

Journal of Gastroenterology

日本消化器病学会の英文機関誌です。