タカラバイオ株式会社(社長:仲尾功一)は、悪性度の高い急性骨髄性白血病の主要原因である遺伝子変異の検査に関する当社の保有特許の実施権を、株式会社エスアールエル(社長:小川眞史)に許諾するライセンス契約を締結しました。本契約により、株式会社エスアールエルは、本特許技術を用いた検査サービスを日本において非独占的に実施することができます。

 

この度株式会社エスアールエルに実施権が許諾された当社の特許は、急性骨髄性白血病患者の約1/3で検出される、FLT3遺伝子の一部の配列が重複する変異(FLT3/ITD変異と呼ばれる)や、そのFLT3/ITD変異を検出する方法に関わるものです。

 

急性骨髄性白血病は成人において最も多い血液がんの一つで、主に抗がん剤による治療が行われます。しかしながら、FLT3/ITD変異を持つ患者では治療後の経過が不良となり、再発や治療抵抗性を示すことが知られています。現在、このFLT3/ITD変異を持つ難治性の急性骨髄性白血病の患者を対象とした、新たな抗がん剤(分子標的薬)の開発が世界中で活発に行われています。本特許の技術を用いてFLT3/ITD変異の有無を検査することにより、この変異を標的とした薬剤を、投薬適応性を確認のうえ投与することが可能になり、的確な治療につながるものと期待されます。

 

当社との非独占的ライセンス契約のもと、株式会社エスアールエルは、医療機関等に対して、患者の細胞におけるFLT3/ITD変異の有無を検出する受託臨床検査を、本年1月より開始しています。

 

本契約締結による当社連結及び単体の平成22年3月期業績への直接的な影響は軽微ですが、当社は本契約締結に伴う契約一時金、およびFLT3/ITD変異検査サービスの売上に応じた実施料を株式会社エスアールエルより受領します。

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【株式会社エスアールエルの概要】

所在地

東京都立川市曙町二丁目41番19号

代表取締役社長

小川 眞史

設立時期

1970年6月

資本金

11,271百万円(2009年3月31日現在)

従業員数

2,244名(2009年3月31日現在)

事業概要

受託臨床検査事業、食品衛生検査、環境関連検査、感染防止商品販売、健康商品販売、※滅菌・院内物流管理、※治験(医薬品開発)支援、※健診機関の運営受託・健康増進サービス
(※ : 関係会社)

ホームページ

http://www.srl-group.co.jp/

【語句説明】

FLT3遺伝子変異(ITD変異)
FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3)は主に未熟な骨髄細胞の表面に発現している受容体タンパク質で、初期造血制御において重要な役割を担っていると考えられています。急性骨髄性白血病の約1/3の症例においてFLT3遺伝子の膜近傍(JM)領域周辺にInternal Tandem Duplication(遺伝子塩基配列の一部が重複する変異:ITD変異)が発生しており、この変異を有する症例は予後不良であることが知られています。ITD変異によってFLT3分子は常に活性化された状態となり、様々なシグナル伝達系を介して細胞に増殖のシグナルを送り続けます。これによって、無制御な白血球の増殖が起こるようになると考えられています。

 

急性骨髄性白血病
急性骨髄性白血病は、未熟な白血球細胞が分化異常のため急速に骨髄中で増殖して蓄積することにより、正常な血液の細胞を造る骨髄の造血機能が障害され、好中球、赤血球、血小板といった血液細胞が減少する、特に成人に多く見られるタイプの白血病です。米国国立がん研究所によると、米国では、2009年に新たに約13,000人が急性骨髄性白血病と診断され、また9,000人が急性骨髄性白血病によって死亡すると予測されています。