タカラバイオ株式会社(社長:仲尾功一)は、富山大学大学院医学薬学研究部生薬学研究室の林 利光教授との共同研究において、ガゴメ昆布フコイダンがインフルエンザウイルスの感染を抑制し、さらにインフルエンザウイルスに対する抗体の産生を促進する作用を持つことを動物実験にて初めて明らかにしました。

 

当社はこれまでに、ガゴメ昆布フコイダンがNK細胞などの免疫系を活性化する作用があることを明らかにしています。また、ガゴメ昆布フコイダンがインフルエンザウイルスの細胞内への侵入を抑え、ウイルスの増殖を抑制することを細胞感染実験において明らかにしています。
今回、ガゴメ昆布フコイダンの抗インフルエンザウイルス作用をさらに詳しく調べるために、インフルエンザウイルス感染抑制効果やウイルスに対する抗体産生への効果を動物実験により評価しました。実験内容の詳細は以下のとおりです。

実験1:

<内容>

  • 実験には、以下の2種類のインフルエンザウイルスを使用した。

1) A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)A/NWS/33株

2) 2009年患者から分離されたオセルタミビル耐性新型インフルエンザウイルス

  • マウスにインフルエンザウイルスを経鼻感染させ、感染3日後に気道や肺のウイルスの量を測定した。
  • マウスには、ガゴメ昆布フコイダン、オセルタミビルもしくは滅菌蒸留水(コントロール)をウイルス感染7日前から感染後3日まで毎日経口投与した。

<結果>
ガゴメ昆布フコイダンとオセルタミビルは、A/NWS/33株の気道や肺における増殖を強く抑制した。さらに、ガゴメ昆布フコイダンはオセルタミビル耐性新型インフルエンザウイルスにも有効であった(図1)。

実験2:

<内容>

  • インフルエンザウイルスは実験1と同じものを用いた。
  • マウスにインフルエンザウイルスを経鼻感染させ、感染14日後に気道中のウイルスに対する抗体の量を測定した。
  • マウスには、ガゴメ昆布フコイダン、オセルタミビルもしくは滅菌蒸留水(コントロール)をウイルス感染7日前から感染後7日まで毎日経口投与した。

<結果>
ガゴメ昆布フコイダンを経口投与したマウスでは、気道中のインフルエンザウイルス特異的分泌型IgA抗体の産生がA/NWS/33株の場合には約1.7倍、オセルタミビル耐性新型インフルエンザウイルスの場合には約2.7倍に高まっていた(図2)。

今回の結果ならびにこれまでの研究結果を統合すると、ガゴメ昆布フコイダンは、NK細胞の活性化、インフルエンザウイルスの細胞への侵入抑制、分泌型IgA抗体の産生促進などの多様な働きにより、インフルエンザを予防できる可能性が示されました。今回の研究成果は、2010年9月25日より徳島で開催される日本生薬学会第57回年会にて発表予定です。

図1 ガゴメ昆布フコイダンによるインフルエンザウイルス増殖の抑制(気道)

図2 ガゴメ昆布フコイダンによるインフルエンザウイルス特異的分泌型IgA抗体産生の促進(気道)

この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970

<参考資料>

【語句説明】

フコイダン
昆布、ワカメ、モズクなど、褐藻類の海藻のぬめり成分で、硫酸化されたフコースを構成成分とする多糖の総称です。ガゴメ昆布には乾燥重量の約5%と豊富にフコイダンが含まれています。当社は北海道の函館近海に生育するガゴメ昆布に注目し、1995年にフコイダンの化学構造を世界で初めて明らかにしました。その結果、ガゴメ昆布が他の海藻に見られないF-フコイダン、U-フコイダン、G-フコイダンを含むことを解明しています。

 

NK(ナチュラルキラー)細胞
自然免疫において、ウイルス感染細胞や癌細胞を傷害する働きをもつリンパ球です。

 

A型インフルエンザウイルス
インフルエンザウイルスはA、B、C型に分かれ、特にA型が大流行の原因となります。A型インフルエンザには、ウイルス表面のヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)の抗原性の違いにより亜型が存在します。2009年に流行した新型インフルエンザはH1N1亜型です。

 

オセルタミビル
インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼという酵素を阻害する抗インフルエンザ薬(商品名:タミフル®)です。オセルタミビルは感染した細胞内で増殖したインフルエンザウイルスの細胞外への放出を抑制します。最近では、オセルタミビルに耐性をもつインフルエンザウイルスの出現が報告されています。

 

分泌型IgA抗体
気道や腸管などの粘膜表面から分泌される抗体です。ウイルスや病原性微生物などの抗原感作によりつくられ、次感染の際に抗原に結合し侵入を防ぐ働きがあります。