タカラバイオではPCRによる新型コロナウイルスの迅速かつ簡便な検査試薬開発、安定的な供給、変異株の検出にいち早く着手するほか、簡易抗原検査キットの販売やワクチン開発への協力を進め、事業活動を通じ、新型コロナウイルス対策に貢献しています。

タカラバイオの新型コロナウイルス関連事業

  • 迅速かつ簡便なPCR検査試薬の開発、製造、安定供給
  • 変異株の検出など分子疫学的調査への貢献
  • 簡易抗原検査キットの販売
  • ワクチン開発・製造への協力

迅速かつ簡便なPCR検査試薬の開発

新型コロナウイルスのPCR検査では、検体中のウイルス固有の遺伝子をPCRで増幅し検出します。

タカラバイオでは、2020年5月にPCR検査キット「SARS-CoV-2 Direct Detection RT qPCR Kit」を開発し、発売しました。このキットは、それまで約2時間を要していた検体の抽出・精製作業を新開発技術によりわずか10分の前処理で代替できます。また、独自の高速PCR反応により、約1時間で結果を得ることができます。さらに、唾液検体を対象とするため、簡便・迅速にPCR検査が可能です。

また、2020年11月には、薬事承認を得た体外診断用医薬品「Takara SARS-CoV-2 ダイレクトPCR検出キット」も発売し、より広範な検査ニーズにタカラバイオ製品が使用されるようになりました。

SARS-CoV-2 Direct RT-qPCR Kit を使用するPCR検査の工程

 

SARS-CoV-2 Direct RT-qPCR Kit
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SARS-CoV-2 Direct RT-qPCR Kit
Thermal Cycler Dice® Real Time System Ⅳ
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Thermal Cycler Dice® Real Time System Ⅳ

サプライチェーン整備による安定供給

PCR検査関連製品では、安定供給に向けてサプライチェーンを整備しています。滋賀県草津市の本社地区では、遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟の一部(約2,400㎡)に、新型コロナウイルスPCR検査試薬(体外診断用医薬品を含む)や、重要試薬などの製造・保管・出荷のための培養装置・タンパク質精製装置・自動梱包装置など一連の設備の整備を完了し、2021年10月より業務を開始しました。施設整備は、経済産業省「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業」に採択されており、これを活用しました。
整備後の製造能力は、PCR検査に換算して最大800万反応/月となり、パンデミック時のPCR検査などに活用しています。

90L 微生物培養槽
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90L 微生物培養槽
自動分注装置
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自動分注装置

変異株検出などの分子疫学的研究などへの貢献

新型コロナウイルスには、デルタ株、オミクロン株などの変異株が知られています。変異株は、感染性、病気の重篤度、ワクチン効果などに違いがあるとされ、変異株のモニタリングは疫学研究において重要なテーマとなっています。
タカラバイオでは、変異株の遺伝子変異検出用の研究用試薬や全ゲノムシーケンス受託など、ニーズに応じた製品・サービスを開発、提供しています。直近では、下水試料を用いた遺伝子検出法の開発なども進めています。

 

※変異株検出関連製品はこちらをご覧ください。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異検出用プライマー、プローブ各種、コアキット(Direct)

 

簡易抗原検査キットの販売

タカラバイオでは、イムノクロマト法により新型コロナウイルスを検出する「HEALGEN COVID-19 抗原迅速テスト」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を2022年3月に取得しました。また、同年8月には、本キットをスイッチOTC化した「HEALGEN COVID-19 抗原迅速テスト(一般用)」についても厚生労働省の承認を受け、一般用検査薬(第1類医薬品)として販売し、安定供給に努めています。

HEALGEN COVID-19 抗原迅速テスト (一般用)
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HEALGEN COVID-19 抗原迅速テスト (一般用)

ワクチン開発・製造への協力

コロナ禍では新しいワクチンとして「mRNAワクチン」が多くの人々に接種され、効果が示されました。タカラバイオでは、遺伝子医療の臨床開発や再生医療等製品の開発・製造支援事業で培った技術を活かし、mRNAワクチンをはじめ、複数のワクチン開発プロジェクトに協力しています。

また、今後のパンデミックに備え、国などの支援を受け、ワクチンの安定的な製造やワクチンの製造に必要な部素材の開発、施設整備に着手しています。

連続遠心分離機
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連続遠心分離機
2000L 微生物培養槽<br/>
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2000L 微生物培養槽